【本記事の対象英語レベル:TOEIC390点以上;英検準2級以上】
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英検2級攻略法の第4回目です。
今回から英検2級の試験問題の各パート別の具体的な攻略法・学習法をご紹介していきますが、今回は「大問1:短文の語句空所補充問題(語彙・文法問題)の攻略法・学習法」をご紹介します。
【大問1の概要】
大問1の問題数は20問で、各設問は「1〜2センテンス程度の短文を読み、文中の空所に入る適切な語句を4つの選択肢から選ぶ」形式となっています。
全20問の出題内容は、以下のとおりです。
単語問題:10問
熟語問題:7問
文法問題:3問
上記の点から大問1について、次のことが分かります。
① 大問1は、英検2級のリーディングセクション全体(全38問)の約52.5%を占める。
② 大問1は、問題の85%が単語・熟語を問う語彙問題、残り15%が文法・語法の知識を問う問題。
そして、この2点から導き出されるのは、以下の事実です。
大問1での正答率がリーディングセクションのスコアに大きく影響する。
語彙問題は、知っているかどうかなので、高校卒業程度・大学入試レベル(= 英検2級レベル)の語彙力があれば、高得点を取ることが容易であり、大問1で高得点を取れれば、それだけ合格に近づく。
【分析・所感】
実際に過去問を解いた上での私の分析・所感は以下の通りです。
① 大問1は、語彙力・文法知識がそのまま点数に反映される
【単語問題・熟語問題】
英検の語彙問題は、単純に単語・熟語を知っているか知らないかだけの問題です。
英検2級に限らず、どの級でも、英検の語彙問題は、紛らわしい引っ掛け問題が出題されることは皆無なので、出題された選択肢の単語・熟語をより多く知ってさえいれば、正答することが容易、且つ、短時間で解答することが可能です。
一方、語彙力が低い人は、解答に時間がかかる上、正答率も下がります。
つまり、大問1は語彙力のある受験者にとっては、「正答率」と「解答に要する時間」の両方で大変有利なパートであり、逆に語彙力がないと非常に不利になります。
また、正答の選択肢の単語・熟語の意味が分からなかったとしても、残りの誤答の選択肢の意味が分かれば、消去法で正解を導き出すことができます。
【文法問題】
文法問題については、高校で習う文法事項を一通り理解している人であれば、出題数も3問だけなので、文法問題対策に多くの時間を割く必要はないと思います。
過去問から、どのような文法事項が出題される傾向にあるかを把握して、それらの文法事項で、苦手なところを確認しておくぐらいで十分でしょう。
一方で、基本的な文法力が身についていない人は、この3問のために勉強するというよりは、英検2級に合格するための基礎力として、 高校までの文法知識を一通り学んでおくことが必要になります。
最低限、高校で習う範囲の基礎レベルの英文法が身についていないと、大問1の文法問題ができないだけでなく、英検2級の他のセクションの問題を解くことも難しいはずです。
文法が苦手という人は、英検2級に合格するために、まずは、高校までの英文法の基本事項が網羅されている、自分のレベルに合った、理解しやすく、ページ数が少なめの文法書を一通り読んで理解することを強くおすすめします。
高校で習う範囲の英文法を学んで、しっかりと理解することは、英検2級合格のためだけでなく、その後の英語学習にも必ず役立ちます。
大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】 (名人の授業)② 大問1を短時間で解答できる語彙力・文法力があると、かなり有利になる
上述のとおり、大問1の各設問を、それほど迷うこともなく短時間で解答できるだけの語彙力・文法力があれば、その分、他のセクションに時間を割くことができるので、相当有利になります。
また、大問1を9割以上正答できるぐらいの語彙力・文法力がある人は、直接的に設問としては問われていなくても、他の全てのセクション(長文問題、英作文、リスニングテスト、二次試験(スピーキングテスト))でも、その語彙力・文法力が有利に働きますので、他のセクションで余程大きなミスでもしない限り、合格最低スコアを大きく上回るスコアで合格できる可能性が高いでしょう。
【大問1の攻略法】
上述のとおり、英検2級の大問1は、各設問の選択肢において、紛らわしい引っ掛け問題が出題されることはなく、単純に単語・熟語をどれだけ知っているかの勝負です。
よって、攻略法は以下のとおり、非常にシンプルなものになります。
【単語問題・熟語問題の攻略法】
自分に合った方法で、英検2級レベルの単語・熟語をひたすら覚える。
【文法問題の攻略法】
文法が得意な人の場合:過去問から出題される文法事項の傾向を把握して、それらの文法事項で、苦手なところを(あまり時間を掛けずに)確認・学び直しをする。
文法が苦手な人の場合:高校で習う範囲の英文法の基本事項を一通り学んで、しっかりと理解する。
【英検2級の語彙レベル】
私の感覚ですが、語彙の難易度は、英検準1級>TOEIC>英検2級 といったところです。(※ 但し、TOEIC 900点以上のスコア取得には、英検準1級レベル以上の語彙力が必要。)
英検2級の語彙レベルは、TOEICの語彙よりもやや易しいぐらいです。
しかし、TOEICと英検では、どちらか一方の試験でしかお目にかからない単語も多くあり、また、どちらの試験でも見かける単語であっても、それぞれ別の意味で出題されることがあります。
その理由は、英検では、大学入試の英語入試問題で出題されるような単語 ―― 例えば、政治問題・社会問題関連のトピックや、歴史関連・自然科学分野関連などのアカデミックなトピックで頻出するような単語 ―― が多く出題される傾向にあり、一方、TOEICでは、その性質上、ビジネスの場などで日常的に使われるような単語が多く出題される傾向にあるからです。
因みに、英検準1級の語彙レベルは、級が1つ上がるだけなのに、英検2級の語彙レベルから難易度が格段に上がります。
大問1の正答率90%以上を目指しましょう
英検2級は、リーディング・リスニング・ライティングのどのセクションでも6割以上の正答率であれば、合格する可能性が高いと言われています。
従いまして、英検2級に合格するだけであれば、大問1の正答率が75%程度で、上出来と言えるかもしれません。
しかし、英検2級を受験する方の中には、今後も英語学習を続け、英検準1級・1級や、TOEIC・TOEFLなど他の英語試験にもチャレンジしようと考えている方も少なくないのではないでしょうか?
もし、英検2級合格は、ただの通過点であり、さらに上を目指しているのであれば、将来を見据えた英語学習という点で、(ただ単に英検2級に合格するだけなら、そこまで必要はなくても、)大問1で90%以上の正答率を目標とすることをおすすめします。
その理由は、英検2級レベルの語彙力とは、あくまで日本の高校卒業程度の基礎レベルの単語・熟語だからです。
文部科学省が公表している「高等学校学習指導要領と英語資格・検定試験との関係について」という資料の中で、高等学校卒業時の英語能力について、以下の記載があります。
【語彙数】
学習指導要領では、履修する科目に応じ2300~3000語程度(新学習指導要領では4000~5000語程度)を扱うとされているが、これはあくまで下限であり、大学受験のためには4000語~5000語を履修させていることも多い。
引用元:高等学校学習指導要領と英語資格・検定試験との関係について
高校卒業レベル(大学受験レベル)の語彙(=4,000語〜5,000語)を習得するのは、なかなか大変なことですが、実際のところ、洋書や英文のニュース記事を読んだり、海外ドラマや洋画を英語字幕のみ(or 字幕無し)で理解したりするには、4,000語〜5,000語程度の語彙では全く足りません。
そのようなわけで、将来、本当に使える英語力を習得するための第一歩として、英検2級の試験において、大問1で正答率90%以上を目標に掲げて、単語・熟語・文法を勉強することを強くお勧めします。
【英検2級の語彙問題対策用教材】
主に単語帳・熟語帳になりますが、英検2級の語彙問題対策におすすめの教材を紹介したいと思います。
英検2級対策に特化した定番の単熟語帳も何冊かありますが、正直、英検2級レベルの語彙を収録している単熟語帳なら、どれでも良いので、自分が使いやすい・覚えやすいと思うものを使って、単語・熟語を覚えればよいと思います。
高校生や大学受験生であれば、大学受験用の単語帳・熟語帳で、英検2級の語彙は、ほぼカバー出来るので、現在使っている大学受験用の単語帳・熟語帳で事足りるでしょう。
また、大学受験に特化した単熟語帳でなくても、英検2級レベルの語彙を収録していると謳っているものであれば、それを使えば宜しいかと思います。
例えば、当ブログで過去にご紹介した「速読速聴・英単語 Core1900」や「DUO 3.0」なども、英検2級レベルの語彙をカバーしています。
もし、英検2級レベルの語彙を収録している単語帳を持っていない、または、さしあたりTOEICなど他の英語試験を受ける予定はない、大学入試なども控えていないという方で、英検2級の試験だけに的を絞って勉強したいということであれば、英検2級対策に特化した定番の単熟語帳を使うのが効率的です。
英検2級 でる順パス単
収録単語・熟語数(見出し語):1,700語 + 会話表現100 + 英作文表現 38
英検対策の定番、旺文社の「英検2級 でる順パス単」は、やはり定番アイテムだけあって、多くの英検受験者が使用していることもあり、また、版を追うごとに、近年の実際の試験での出題データを分析した上で改訂されているので、安心して使える単語帳の一つです。
【音声アプリ対応】英検2級 でる順パス単 5訂版英検2級 英単語 1750 英検ランク順
収録単語・熟語数(見出し語):1,750語(単語・熟語・会話表現)
「英検2級 英単語 1750 英検ランク順」は、過去問を分析し、単語・熟語・会話表現をランク順に並べた単語帳です。
覚えた内容をクイズ形式で復習できる「無料アプリ」が利用できるのが、今どきの便利な単語帳といった感じです。
本書の内容に対応したダウンロード音声も用意されています。
また、本書は、色分けの採用など、デザイン・レイアウトの点で視認性に優れています。
【アプリ対応】英検2級 英単語 1750 英検ランク順 (学研英検シリーズ)キクタン 英検2級
収録単語・熟語数(見出し語):1,120語
「キクタン英検2級」は、収録語彙数は、上記2冊に比べて少ないので、カバー率では劣りますが、単語帳自体の見やすさ、音声ファイルの秀逸さは、一番だと思います。
単語・熟語を覚えることが苦手な人は、音声ファイルを聴きながら、この単語帳を何周もすることをおすすめします。
【CD-ROM・音声DL・赤シート付】改訂版 キクタン英検2級英検2級 文で覚える単熟語
「英検2級 文で覚える単熟語」(通称:「文単」)は、その名の通り、一般的な単熟語帳とは違い、文章を通して英検2級合格に必要な単熟語を習得するタイプの単熟語帳です。
本書は、「単語の羅列の単語帳で覚えるのが苦痛な人」や「長文を読みながら、文脈を通じて単熟語を覚えたい人」におすすめです。
また、英検2級レベルの長文を読みながら単熟語を覚えるように構成されているので、単語・熟語を覚えるのと同時に、読解力も身につけることができ、英検2級の長文問題対策学習にもなり、一石二鳥です。
【音声アプリ対応】英検2級 文で覚える単熟語 4訂版英検分野別ターゲット 英検2級単語・熟語問題
「英検分野別ターゲット 英検2級単語・熟語」は、単熟語帳ではなく、実際の英検2級の大問1の形式(=四択問題形式)の練習問題+模擬テストを解くことで、大問1の「単語」・「熟語」・「文法」問題を攻略する語彙力・文法力を習得する構成になっています。
本書には、500問が収録されているので、四択問題の正答だけでなく、他の3つの誤答の確認をすることにより、500問×4= 2,000の単語・熟語・文法事項を学ぶことができます。
他の単熟語帳との最大の違いは、大問1の文法問題対策もできる点です。
更に、本書のChapter 1では、英検2級の「大問1の攻略法」・「語彙力アップの方法」・「文法力アップの方法」も詳しく紹介されています。
また、実際の問題形式である四択問題を解くことにより、記憶に残りやすいので、単語・熟語を覚えるのが苦手な人にとっては、本書を何周か繰り返すほうが、単熟語帳よりも単語・熟語が覚えやすいかもしれません。
【音声アプリ対応】英検分野別ターゲット英検2級単語・熟語問題 改訂版以上、英検2級対策に特化した単熟語帳を5冊ご紹介しましたが、これら以外にも英検2級用の単熟語帳はありますし、上述のとおり、英検2級レベルの単語・熟語を収録している単熟語帳であれば、英検2級対策に特化したものでなくても大丈夫です。
実際のところ、収録語彙数が多い単熟語帳の場合、英検2級対策に特化した単熟語帳よりも、カバー率が高いこともあり得ます。
もし、今現在、使っている単語帳があって、それが英検2級レベルの対応を謳っているのであれば、新しい単語帳に手を出すのではなく、引き続き、その単語帳で単語・熟語を覚えるのがよいかと思います。
【独学での合格が難しいと思われている方へ】
当ブログ記事では、独学での英検2級合格のための学習方法をご紹介していますが、自分で学習計画を立てて独学で英検2級に合格する自信がない人や、今まで複数回受験したけれども合格できないという人は、英検対策のスクールやオンライン講座などのサービスを検討するのも宜しいかと思います。
TOEIC・英検などの資格対策に「KIRIHARA Online Academy」次回は、「大問2:長文の語句空所補充問題・大問3:長文の内容一致選択問題(長文読解問題)」の攻略法・学習法をご紹介します。
Neither heat nor cold abides always in the sky.
暑さ寒さもいつまでも空にあるわけではない(暑さ寒さも彼岸まで)